「瞑想は脳にどんな力を与えるか。 それを医学で解析してみたかった」

医学博士 石川善樹

予防医学研究者 / ㈱ Campus for H 共同創業者

東京大学医学部卒業後、ハーバード大学公衆衛生大学院修了。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして研究し、 常に「最新」かつ「最善」の健康情報を提供している。専門分野は、行動科学、ヘルスコミュニケーション、 マインドフルネスの健康づくりへの応用など。東京大学研究員、国立がん研究センター研究員、G1 サミットU40 メンバー。Google 発のマインドフルトレーニング、Search Inside Yourself 公認インストラクタープログラム在籍、 NHK「NEWS WEB」金曜日ネットナビゲーター(2014 年度)。雑誌「WIRED」での連載をはじめ、ビジネスパーソン 対象の講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。

 

 

 

「禅は特別な場所だけでするものではない。生活の中でするものなのです」

禅僧 川上隆史

臨済宗妙心寺派本山塔頭 春光院 副住職

2004 年に米国アリゾナ州立大学・宗教学科卒業後、宮城県瑞巌寺専門道場で修行。2006 年より妙心寺春光院にて 訪日観光客を対象に英語で坐禅の指導をはじめる。2007 年、同院副住職に就任。米大学(Bryn Mawr College,University of Nebraska-Lincoln, University of Oregon, Antioch University など)との共同でサマープログラムを 開催する。2008 年より、米日財団・U.S. ‒ Japan Leadership Program のメンバーとなる。現在は、心理学者と共に 禅をベースとしたワークショップを米国で開催したり、禅の考え方をビジネスの分野への取り込み方(無我と おもてなしの考え方)などを企業やビジネススクールで講演を行っている。また、LGBT の権利の向上のために、 仏式での同性婚の結婚式を行っている。IGLTA のメンバーでもある。

 

 

 

「結果を心配しない。今この瞬間に集中する。極限状態でこそ、その力が必要です」

登山家 栗城史多

見えない山を登る、全ての人達と冒険を共有する登山家。1982年北海道生まれ。大学山岳部に入部してから 登山を始め、6大陸の最高峰を登り、8000m 峰4座を単独・無酸素登頂。2009年からは「冒険の共有」 としてのインターネット生中継登山を始める。「冒険の共有」は、一歩踏み出す人を増やすことを目的とし、 見えない山を登っている全ての人達へというメッセージと共に発信。エベレストには、気象条件の厳しい秋季に 単独・無酸素で 4 度挑戦。2012年秋にエベレスト西稜で両手・両足・鼻が重度の凍傷になり、手の指9本の 大部分を失うも、2014年7月にブロードピーク(標高8,047m)に単独・無酸素で登頂して、見事復帰を 果たす。2015年秋、世界最高峰からの生中継エベレスト登山に再び挑戦する。

 

 

 

「できるビジネスパーソンは、プロセスドリブン。その気づきからスタートしました」

起業家 米倉章夫

株式会社 Campus for H 代表取締役 / 共同創業者

P&G Japan 株式会社にて菓子、食器洗い用洗剤ブランドのマーケティングを担当し、その後、株式会社 キャンサー スキャンの設立に参画。国立研究機関、厚生労働省、研究者等に対して、がん検診受診率向上事業等、主に公衆 衛生分野のソーシャルマーケティング戦略の策定と実施を行う。2014 年 9 月に株式会社 Campus for H 設立。 東京大学経済学部(BA)、Harvard Business School 卒業(MBA, Class of 2013)。2013 年6月に HBS Healthcare Initiative Japan Regional Director に就任。World Non-Profit & Social Marketing Conference in Dublin (2011 年 4 月 ) にて基調講演。

 

 

 

「どうやって働き方を楽しくしていけるかってずっと考えてたときに、瞑想に出会った」

クリエイティブエージェンシー CEO 澤邊芳明

株式会社ワン・トゥー・テン・ホールディングス 代表取締役社長

1997年、ワン・トゥー・テン・デザインを設立。同社代表取締役社長。 同社にて、カンヌライオン・ゴールド、アドフェスト・グランプリを含む、150以上の広告賞を受賞。
2012年、デジタルクリエイティブエージェンシー 株式会社ワン・トゥー・テン・ホールディングス設立。
京都を起点に、東京、大阪、上海、シンガポールに拠点ネットワークを広げる。
好きな言葉は、「それっておもしろいの?」 。
常に既成概念に挑戦し、「クリエイティブによって希望ある未来への作用点を生み出す」を信条とし、広告のみならず、ロボット開発やゲーム開発など、社会全体のコミュニケーション視点を変えようとしている。

 

 

 

「自分の執着は脇に置く、という禅的な発想でコミュニケーションすると、すっと入る」

起業家 深田浩嗣

株式会社Sprocket 代表取締役

京都大学工学部情報学科卒業。2000年1月、同大学院在学中、片岡俊行、中田稔と共に株式会ゆめみを設立後、ゲーミフィケーションの概念を用いたエンゲージメントソリューション「Sprocket(スプロケット)」開発に注力。 2014年6月、株式会社Sprocketとしてゆめみより分社し代表取締役に就任。Sprocketを顧客育成プラットフォームと位置付け、エンゲージメント向上、ロイヤリティ向上のための施策を提供している。
著書に「ゲームにすればうまくいく ―<ゲーミフィケーション>9つのフレームワーク」、「ソーシャルゲームはなぜハマるのか」がある。

 

 

 

 

石川 心理学で、おそらくもっとも誤解されてる概念が’’モチベーション’’ですね。
高い夢を持ってる人は、途中で挫折することが多い。
本当は、いかにモチベーションに頼らず、淡々とできる仕組みを自分の中につくるかがとても大事。これが、最近の科学の知見で分かってきたことなんです。
 
川上 モチベーションを上げすぎると、楽観的になりすぎて空回りするってことですよね。

石川 脳がそれだけで満足しちゃうんですよ。頑張る自分を想像するのって気持ちいいじゃないですか。でも、自分をコントロールできる人は、無駄な意志力を使ってない。人が1日に使える意志力は限られてて、その意志力を使い果たすと、ちょっとしたことがストレスになるそうです。例えばオバマ大統領も、服を選ぶことで意志力を使いたくないから、グレーと紺の2種類しか持ってないそうですよ。
 
深田 そう言われると、意志力のキャパって上げられないのか、気になりますね…
 
石川 瞑想すると、上がるんですよ!
 
川上 瞑想とかヨガとかちょっと抽象的なものなんですけど、これらがアメリカの実践主義とぶつかることで、わかりやすくて皆が使えるものになったんです。それがマインドフルネスですね。

石川 マインドフルネスは、科学的には、第3世代のメンタルトレーニングといわれてます。第1世代は行動を変えるトレーニング、第2世代が考え方を変える、ポジティブシンキングですね。そうやっていろいろやってきたけど、人の思考回路はそんなに変わらないとわかってきた。
そこに、第3世代の ’’注意を今この瞬間に向ける’’ というトレーニングが訪れ、すると、ストレスが減ったり、怒りにくくなった。
未来でも過去でもなく、今この瞬間に注意を向けることを続けると、脳の構造も良い方向に変わるという研究もいっぱい出てきました。
 

川上 私の寺の禅体験に来られる方は、最近は海外の会社のエグゼクティブが増えています。2008 年以降の、リーマンショックを境に、新しい起業家の方々に共感力がものすごく高い方が増えています。共感力が高いので、世の中悪いところによく気づく。では、それをどう改善していけばいいか、と考え、事業に活かされています。
日本の戦後の教育思想はずっと自己実現で、それは裏返すと、自分が勝ってればいいという世界になります。共感力を、日本の教育は戦後ずっと教えていなかった。むしろ明治時代などの偉人は、共感力がものすごく高かったと言われてます。

 澤邊 われわれの業界を見ても、クリエーターがあまり報われない現状があり、うつになったり、病んでしまう人間もいる。やっぱり働き方が面白くないとストレスが溜まるし、どうやったら仕事を自分たちで楽しくしていけるか、ずっと考えてました。そんなとき瞑想に出会って、これは非常に有効なアプローチだし、ぜひ広げたいな、と思いましたね。

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深田 経営者として社内のメンバーとどう関わるのかは、すごく大きなテーマだと思います。おそらくその人の人生に対し、大きなインパクトを与えるだろうし。それだけでなく、自分のやりたい仕事を、事業として形にしていくことを考えると、どういうスタンスでこの人たちと関わっていくべきか、大きな問いとしていつも自分の中にあります。
そんな観点で見たとき、自分の欲求や執着などをベースにコミュニケーションをすると、あまり良い感じで話せてないなって思っていたんですよね、ずっと。
そこに禅的な発想で、ちょっとそれは脇に置いて話すような考え方は、自分の中にスっと入ってきましたね。

 

栗城 mindfultalk_image_kiriki山に登ることは、力で登るんじゃないかとよく思われますが、全然そうではなく、まさに共感力とか、山を感じる、ということがすごく大切ですね。山に対して、自分の心に対して、素直になって登ります。
例えば、下山の判断基準として、やっぱり自分の心が向かないときは行かないですし、どう自分を客観的に見るかが非常に重要かと思ってます。
山の事故で一番死亡率が高いのは、だいたい 20 代後半から 30 代前半です。若手の冒険家は、ガンガン行ってしまいたくなることが多いですが、僕がずっと登ってきて一番大切だなと思うことは、執着しないことです。目標を持ちながらも、執着しない心が生きて帰れるかどうか。
座禅や瞑想というものは、自分の心の中を空っぽにして、執着してるものなどを俯瞰してみたり、何が大切なのかを見ていく作業だと思います。

 

川上 目標を失ったら、人間としてただ生きてるだけになりますが、その目標に執着しすぎて、それが苦になることもある。目的があってもいいんだけど、目的ってものから遠のいて、その瞬間瞬間、今の自分ってどういう状況なんだろう、と客観的に見ることが必要だと思います。栗城さんが山に登ることもそうですし、起業家とか、世界を動かそうとしてる若い人たちも、そういうとこに来てるのかなという感じがしますね。